- 吉田哲士:プロカメラマン
眠っている古いフィルム、写真をスキャニングでデジタル化!
こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。
節目写真館のスキャニングサービスをプロカメラマン目線でレビューします!
節目写真館とは
いわゆる写真の撮影をしている写真スタジオではなく、株式会社フォトバンクが提供されているサービスで、写真やフィルムのデジタル化を専門にサービスの提供をされています。
これまでに既に1億枚以上のデジタル化実績もあり、言わばスキャニングのプロフェッショナルです。
詳しいサービスの説明は省きますが、アルバム、バラ写真、フィルム、ビデオと手元に保管している写真類は勿論、一部のハイアマチュアやプロが使用していたブローニーサイズ、4x5サイズ(102x127mm)の中判、大判フィルムまでをもカバーしていて、ほぼ問題なくデジタル化ができます。
納期も特急プラン(到着から4日)、お急ぎプラン(1.5か月)と費用を抑えた節目プラン(3.5か月)とあり、画質の選択もスタンダードプラン(写真300dpi、フィルム1200dpi)とプレミアムプラン(写真600dpi、フィルム2400dpi)がありますので、それぞれのニーズでサービスを選ぶ事が出来ます。
詳しくは以下サイトをチェックして下さい。
フィルム撮影された写真
さてこのブログを読んで下さっている皆さんはフィルムを使っての写真撮影経験はお持ちなのでしょうか?
今や写真と言えば当然デジタルの時代、私は普段広告写真撮影の仕事をしていますが、フィルムからデジタルに完全移行したのは約15年程前でしょうか?
最初に使用した本格的なデジタル一眼レフカメラはKODAK社製の300万画素カメラで(今となってはスマホのフロントカメラ以下の画素数!) この300万画素カメラが実に当時300万円ほどしたのですから、今では到底考えられない高価な代物でした。ただ本格的とはいっても仕事レベルでは全く使い物にならず、メインはやはりフィルムでの撮影でした。
今となっては、フィルムは希少価値で有るのと同時に、フィルム世代ではない若い方達がフィルム再発見で使用しているのをよく耳にします。確かに「フィルムの良さ」はあるかと思いますが、フィルムで写真を始め、これまでフィルムでの撮影を大量にしてきた自分としては、一度デジタルの便利さを知ってしまうと、「もうフィルムには戻れない体」(笑)になってしまっています。
先日表参道のギャラリーで拝見した都市風景の写真展では、たまたま作者の方も在廊されており、すべて4×5カラーネガで撮影されたと聞き、若かりし頃の自分がLinhof(ドイツの老舗カメラメーカー)のテヒニカ4×5ビューカメラを担いで白黒写真を撮影していた事を思い出して拝見しました。
またブローニーと呼ばれている120サイズの中判フィルムでも、叔父からいただいた古い2眼レフ、ミノルタオートコードで6×6写真の白黒ストリートスナップをかなりの数撮影していました。それ以前の写真を始めた当初、高校の写真部時代はNIKONの35mmでやはり白黒フィルムを使用しての撮影をひたすらしていました。
そんな訳で自宅にはかなりの量のフィルム(大半はつまらない写真でしょうけど(笑))が眠ったままになっており、いつかはそれらをデジタルデータ化し再度プリントしたいと長い間、頭の隅にその思いが居座ってはいたものの、なかなか重い腰も持ち上がらずに放置状態がここ何十年も続いてきておりました。
写真(フィルム、プリント)をデジタル化する=スキャニング
フィルムや写真プリントのデジタル化は正直、頑張れば自分でも出来ます。スキャナーを購入すれば、大判フィルムやA4サイズプリント迄をもカバーしたい場合は値段が少し高くはなるものの、35mmフィルムのみでしたら10,000円位で十分な性能のスキャナーが購入でき、外注にお願いするよりはずっと費用をかけずに済みます。
以前は私もよく自分でしていました(いわゆる自炊ってやつです)。
事務所にフラットベッドのスキャナーがあり、時間の空いた時などにコツコツとしていました。只、このスキャニング作業、経験をお持ちの方ならお分かりかと思いますが、実は非常に手間のかかる作業です。特に私の場合、120サイズと4×5サイズのポジフィルムのスキャニングがメインとなるのですが、手順としてはフィルムを1枚又は1ストリップ毎に保護袋から取り出し、フィルムホルダーにセットしスキャニングをします。
スキャンボタンを押すと、最初はプレビュー画像が10秒程で表示されますので、その画像を見て明るさやコントラストの基本調整をします。フィルムがカーリングして曲がっていたり、ホルダーに真っ直ぐセット出来ていない時は再度フィルムフォルダーを取り出してフィルムセットのし直しも必要です。
それらの作業をした後、本番スキャンの開始となります。最近のスキャナーはスキャニングスピードもかなりアップされてきているかと思いますが、私が使用していた当時は4×5サイズ1枚で40~60秒位は要したかと思います。
このようにスキャニング作業というのは大変骨の折れる作業で、していて楽しい事が正直ぜんぜん無いです(笑)。待ち時間がどうしてもあるので、他の事務作業などをしながらついでにしていると、スキャニング作業が全然進まなかったりします。
そんな経験も過去にしていて、スキャン作業の大変さを嫌というほど知っていたので、倉庫に眠っている大量のフィルムや写真はいつまでも陽の目をみないで来ていました。
今回は倉庫を大ざらいし以下の内容を一気に「節目写真館さん」へお願いをしました。
- 120白黒 6×7 40本 320コマ
- ポラロイドSx70. 70枚
- 4×5白黒ネガ 82枚
- 4×5カラーポジ 80枚
- 135カラーポジ バラ 26コマ
- 120カラーポジ バラ 10コマ
- 135カラースライド 443コマ
- 120カラーポジ 645 12本 192コマ
- 220カラーポジ 645 5本 160コマ
- 8×10白黒プリント 65枚
- ビデオ 5本
自分で言うのも何ですが、なかなかの量です(汗)
申し込み後、すぐに送られてきた発送キット段ボール箱(大)の中には緩衝材とチャック式の収納袋が沢山入っていて、写真、フィルムを安全に送付できるようになっており、梱包して入れると段ボール箱にほぼ一杯でした。
はい、毎度のお邪魔虫!
正直この分量のスキャニング作業を自分でする(自炊)となると、多分集中して行ったとしても2か月は優に掛かるのではないでしょうか? 正直全くやる気が起きません(笑)
それをなんと1.5か月程(お急ぎプラン)で仕上がる! 素晴らしい! めちゃめちゃ助かります。
スキャニングデータが届きました!
予定通り約1.5か月でお願いしたデータが届きました。早速段ボールを開け、改めて今回お願いしたフィルムや写真を見て、結構な分量あったな~(汗)、と思いました。
写真類はキレイに梱包されており、大事なフィルム、写真類が大変丁寧に扱われているのが凄く嬉しいです。ちなみに発送に使用されている段ボール箱は通常の段ボールよりかなり厚手な箱を使用されているので、輸送中の安心感も増します。
写真達がキレイに梱包されてます。
スキャニングされたデータはDVDにフォルダー毎にまとめられて入っています。
今回届いたDVDは写真用4枚とビデオ用が1枚でした。各フォルダーにはインデックス一覧(プランにより付きます)が作成されておりフォルダーを個別に開かなくても内容が分かり、大変便利です。
今回私は利用しませんでしたが、各データにファイル名を付けたり、プランによっては撮影日をEXIFデータに追加したりもできますので、写真整理に大変便利です。
節目写真館オリジナルの無料クラウドサービス、「Fushimeフォト」を利用すればいつでも気軽にスマホやPCでスキャニングした写真が楽しめますし、撮影順に追ってみる事が可能なのも嬉しいです。
Fushimeフォトのスマホ画面
スキャンした画像全ての閲覧とダウンロードができSNSへの投稿もすぐに出来ます。
私の場合、今回スキャニングをお願いした写真の内容は、プロカメラマンらしく!?いわゆるファミリーフォト的な思い出、記録写真ではなく(一部ありますが)、過去に作品用や学校での課題として撮影した写真が大半です。
私にとってデジタル化の最大の目的は、「古い写真の整理」も重要なのですが、それ以上に、ここ最近アニメや映画の世界で耳にする「デジタルリマスター」をして、眠っていた写真を復活させる事でした。
プリント写真(カラー、白黒) カラーポジ写真
これらの写真はどれも皆大変キレイに仕上がっています。
DVDにはスキャンしたままの「元データ」と「色補正済みデータ」が各フォルダー分けされて入っています。
私の写真に関しては、調整済みデータより元のままのデータの方が、実際の色味に近い写真が多いかと思いましたが、どちらか良い方を選べば良いかと思います。ただ私の場合はLightroomというソフトでデータ管理を行っているので、ファイル名を多少変えて(末尾に_aを付けるなどして)おいて欲しかったです。
解像度は今回プレミアムコースですので、プリント写真が600dpi、フィルムが2400dpiですので、35mmフィルムをA4サイズにプリント出力しても問題が無いデータ量です。この解像度ですが、スペシャルオーダーとしてさらに高めの解像度も選択できれば特に作家系の方には喜ばれるかと思います。
4×5カラーポジからのデータ
カラープリント(ポラロイドSX70)からのデータ
ネガフィルム(カラー、白黒)
最近、フィルムで写真を楽しんでおられる方はおそらく大半の方がこのネガフィルムを使用されているかと思います。
撮影されたフィルムを現像後、暗室で印画紙にプリントしているのか、デジタル化してプリント出力なりSNS投稿なりをされているのかは分かりませんが、ご存じの通りこのネガフィルムは絵の明暗が逆転しており、ぱっと見ただけでは写真の内容が良く分かりません。その点でもネガフィルムをデジタル化して整理する事は、その写真が一目瞭然になるので大変助かります。
このネガフィルムというのは専門用語で言うところのラチチュード、デジタル用語で言うところのダイナミックレンジが大変広く、明るい部分から暗い部分までの記録可能な領域が広いです。
ただこのラチチュードの広さがスキャニングにとっては実は問題になる点でもあります。なぜならスキャニングを行う人がその写真を撮影したカメラマンであれば、スキャニング時にその写真の明るさやコントラスト、カラーの場合は色味等々を調整しながら行えるのですが、その写真の最適な状態が分からない方やスキャナーの自動調整ですと、スキャニングされたデータがカメラマンの意図と大きくずれる可能性があるからです。
「ネガは楽譜でプリントは演奏」かの有名な写真家アンセル・アダムス氏のお言葉です!演奏の仕方次第で写真は傑作にも駄作にもなり得るのです!
今回4×5サイズと120サイズの白黒ネガを節目写真館で約400枚スキャンしてもらいました。厳密には数えてはいませんが、約90%は満足できるクオリティーでスキャニングされているのではないでしょうか。
白黒写真の場合も「元データ」と「色補正済みデータ」とファイルに分かれてデータが入っていますがデータの違いは色味ではく明るさ違いになっているみたいです。スキャナーの自動読み取りでの明るさ/コントラスト判断とスキャニングオペレーターの方の判断!?の違いでしょうか。デジタル画像処理を前提としたフィルムスキャニングデータは、ぱっと見よりも暗部から明部までの情報がしっかり残っているデータです。
ここでも作家や本格的な作品作りをしている方の為にスペシャルオーダーで明るさ違いやコントラストを落としたフラットな仕上げのデータ仕上げも注文出来るようになれば嬉しいと思いました。
白黒ネガからのデータ
写真のデジタル化をしてみて
今回初めて節目写真館でデジタル化をお願いしましたが、結果は大変満足で、これから徐々に古い写真達を蘇らせる作業をしていきたいと思います。
当時の思いとはまた別の仕上げによって新たな写真作品が生まれてくるのでは!とワクワクしています。
写真のデジタル化は写真整理をする事は勿論、古い写真を蘇らせる事の両方が出来る素晴らしい事です。そこにはきっと新しい発見があるはず!これを機に皆さんも写真のデジタル化をしてみては如何でしょうか?
それでは良い写真ライフを! Have a good one!