- 吉田哲士:プロカメラマン
Thetaコンテスト入賞者が伝える360度カメラ「リコー Theta/シータ」で得られる未体験の写真!
こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。
今回はここ最近国内外含めいろいろなメーカーからの機種も増えてきている360度カメラに関してです。話では聞いたり、webやSNS、スマホでは360度のグリグリ動かせる画像を実際に体験した人も多いかと思いますが、実は手軽に撮影もでき作品つくりもできます。
これまでの写真に少し飽きてきて新しい写真表現をしてみたい人にはもってこいですので、是非紹介したいと思います!
360度カメラの魅力
手前味噌ですが先ずは作例をコンテスト入選作含めて見て下さい。
「RICHO THETAで撮る360度で残したい日本の風景コンテスト」優秀賞
「theta360フォトコンテスト2016」優秀賞
「リコーイメージング フォトコンテスト2017」シータ賞
【作例】中野ブロードウェイ まんだらけ 変や
【作例】クリスマスイルミネーション
【作例】柔道大会
どの作品も独特な見映えになっているかと思います。
一眼レフ用の魚眼レンズをお持ちの方は、感じが似ている事にお気づきかとは思いますが、決定的な違いが360度カメラにはありますのでまた後でお話しますね。
360度カメラとは
360度カメラとは大まかに分けて2種類あり、全天球タイプと半天球タイプがあります。
全天球タイプはレンズが前後2つで文字通りカメラを中心に360度と地球儀でいうところの北半球、南半球すべての方向が写ります。
別の半天球タイプはレンズが1つでカメラの水平方向に360度で地球儀でいうところの北半球の南半球どちらか半分のみが写るカメラです。
リコーのthetaは2013年11月に発売された世界初の360度カメラでまさに元祖360度カメラなのですが、当初はその使用方法が発掘されておらずあまり人気がなかったような気がします。私自身も当時見聞きはしていましたが、関心を持つことがありませんでした。
360度カメラの主流は全天球タイプの360度カメラで今回のリコーthetaも全天球タイプのカメラです。
アマゾンで「リコーtheta」を見る 参照元:アマゾン |
全天球タイプは一度のシャッターで360度が全て写ります。原理としては前後2つの超広角魚眼レンズとセンサーで撮影された2つの画像をソフト上で1画像に合成します。実際の編集前の素の画像は以下の通りで、平面で見ると見慣れない変な画像です。
360度カメラの楽しみ方としては、スマホやPC画面でグリグリと見たいところに画像を廻してその空間を楽しむ、いわゆるVR(バーチャルリアリティー)体験。
こちらはVRゴーグルとモーションコントローラーを使用してさらに臨場感あふれる体験もでき、それを利用したVRツアーやプレイステーション等でも遊べるVRゲームも数多く見られます。この分野はこれから5Gの時代にも突入して益々加速して自宅にいながら凄いリアルな体験が可能となってくるでしょう。
もう1つの楽しみ方は作例の様な写真作品として平面(プリント)画像にして残す事です。ただこの360度画像は先ほど編集前の素の画像をお見せした通り、通常の画像ではないので、スマホ専用無料アプリ、Theta+/シータプラスを使用して編集する必要があります。
Thetaでの撮影
編集の前に先ずは撮影をしましょう!
360度カメラは全天球を1シャッターで写し取ります。その為カメラマン自身もカメラを手でもっている以上、当然写り込んでしまいます。周りのもの全てが写ってしまうが故の問題が「カメラマン自身をどう処理するか!」なのです。
その問題を解消するには、三脚や自撮り棒を使用しての撮影が断然おすすめです。メーカーであるリコーからも専用のアクセサリーが販売されていますが、100均でも手に入る自撮り棒が安価で機能も充分ですので私は後者を多用しています。
同じ場所で撮影した手持ち、自撮り棒、専用三脚の写真が以下の通りです。
手持ちで撮影
自撮り棒(短め)で撮影
自撮り棒(長め)で撮影
専用三脚で撮影
手持ちはいくら頑張ってthetaの下の方を持っても絶対に手が大きく写り込んでしまいます。
これは後から説明しますが、編集時に不要部分として手が大きく写ってしまい排除するのが難しいのでお勧めしません。
次に専用三脚を使用した例ですが、セルフタイマーを使用しダッシュして自分が写らないようにどこかに隠れています。
この方法は画像編集時にはカメラマン自身が写り込んでいないので一番有効な方法ですが、撮影時にダッシュして隠れるというちょっとした苦労が伴います。ただそれを解消する方法として、スマホ用のthetaアプリとwi-fi連携して遠隔操作でシャッターを切る方法があります。
三脚の足は倒れないで最小限の開き具合で!
これはカメラをセットした後にダッシュして隠れる必要が無いのですが、theta撮影で使用する三脚が、実は三脚自身の写り込みを最小限にする様にミニ三脚+一脚の構造となり、三脚自体が通常の三脚よりどうしても不安定で風などが少し強いと撮影中にカメラが倒れてしまうという不安がどうしても付きまといます。
360度カメラはどれもレンズがむき出しで保護できるフードの取り付けなどもケラレるので装着できないので、カメラを倒してしまうと、一発でレンズに傷が付いてしまいます。
ただ2020年3月に発売されたtheta SCビジネスモデルにはこの苦労を理解された開発者の方が、特に不動産物件撮影を目的として画期的な機能であるタイムシフトを付加してくれたお陰で、断然楽になりました!
このタイムシフトとはカメラの前と後ろの撮影タイミングを意図的にずらす機能で、カメラマン自身が撮影タイミングに合わせてカメラの前後に少し移動するだけで、自身を写り込まない様にできる機能です。これは不安定な三脚のすぐ横にカメラマンも居られるので万が一カメラが倒れそうになった時でも自分で受け止める事ができるので、転倒させてします事態を防げます。
この機能を使えば安心して屋外でも撮影ができます!目からうろこの素晴らし機能です!できれば凡ての360度カメラにこの機能を備えて欲しいものです。
※theta SCビジネスモデルは通常のtheta SCと撮影モード他機能が多少ことなりますので、購入をお考えの方は事前に注意して下さい。
最後が自撮り棒での手持撮影です。これは撮影がお手軽な上、撮影時に少し長く伸ばせばカメラマン自身の写り込みも小さく、編集時もさほど苦にならないのでグリグリ動かすVR360画像ではなく、平面作品を目的とした場合には一番良い方法かと私は思います。
撮影も2秒のセルフタイマーを使いながら、さっと取り出してピュロッ(シータは撮影時のシャッター音がカワイイ)と撮影できます。注意点として、thetaは必ず自撮り棒に真っ直ぐに取り付けて下さい。
想像力を掻き立てるTheta編集作業の世界
さて冒頭から少し引っ張りましたが、編集です。Thetaの編集は無料のスマホアプリ「theta+」で行います。
PC用にも基本アプリのRICHO THETAというアプリがあるのですが、こちらはデータ閲覧用で編集はできませんのでお気をつけ下さい。 このtheta+の編集機能として以下の機能が使えます。
- ビュー
- フィルタ
- 画像補正(露出・コントラスト・色温度・ハイライト・明るさ・シャドウ・彩度)
- スタンプ
- テキスト
- クロップ ※この機能は、クロップ画像編集のときのみ使用できます。
- アニメーション
- タイムラプス編集
- シェア
この編集機能の中で平面画像に仕上げるにあたり一番大事な機能がクロップ(トリミング)機能です。
ビューをリトルプラネットにして、このグリグリと動かせる360度カメラ撮影ならではの画像をスマホ画面を見ながら、直感的に指で操作ができるところがズバリ!theta編集の醍醐味で最も重要な作業なのです!
いくらphotoshopなどの優秀な画像処理ソフトを駆使しても出来ない、これまでの平面画像では経験できなかった、撮影後のアングル/視点(?!)調整がまさに目の前で可能なのです。
これは実際にやってみると少し病みつきにもなるところがあり、また何が正解か分からなくなる事も多々あるので注意が必要です(笑)。
ただ、調整の仕方によって、同じ画像を全くの別物に仕上げる事ができますので、ハマると大変です。いくつかサンプルを作ってみましたので見てください。
京橋駅前のクリスマスツリー 素画像
theta+のリトルプラネットで編集
コツはやはりカメラマン自身の存在をなくしながら絵を構成していく事でしょう。
最終的には同じく無料のスマホ画像処理アプリ「snapseed」で調整して
専用三脚を使用して撮影した海辺と高層マンションの画像は最終的にこうなりました
冒頭で見ていただいた桜の写真もほぼ同じな別データですが以下の様に全くの別物写真になります。
その他の編集機能はあまり使用してないのですが、アニメーション風の動画仕立てにしたりもできますしSNSへの投稿なども簡単にできますので、ご自身で発掘してみてください。
360度カメラの魅力と楽しさ
今回は360度カメラの魅力と楽しさをお伝えする事が出来たかと思います。
無限の可能性といったら少し大げさですが、撮影後の編集がとても楽しいので、是非トライしてみて下さい。
尚、今回は私も愛用しているリコーの「theta」を中心に紹介させていただきましたが、他社製品として個人的に注目しているのは「insta360社」からのアクション系360度カメラです。
アマゾンで「Insta 360」を見る 参照元:アマゾン |
動画での手振れ補正機能がすごく良いみたいで、静止画より動画の方を中心に撮影されている方には持って来いではないでしょうか。合わせてチェックしてみてください。
それでは良い写真ライフを! Have a good one!