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iOS 13の新機能:iPhone 写真アプリ
  • 吉田哲士:プロカメラマン

iOS 13の新機能:iPhone 写真アプリ 編集機能が大幅強化! 注目機能として、写真のパースペクティブ コントロールが可能に!

こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。

Appleが9月20日に公開したiPhone用「iOS 13」では、写真アプリの編集 新機能として

  • 写真タブに年別・月別・日別の絞り込みタブが追加。
  • ピンチイン・ピンチアウト操作で1画面に表示されるサムネイルの枚数変更が可能
  • プレビューで動画やLive Photosが自動再生する
  • パースペクティブ(歪み)・シャープネス・ノイズ等の新しい加工機能が追加
  • フィルターの適用量調整が可能に
  • 動画の切り抜き・回転・露出・フィルター等の加工機能が追加

と多数の機能が追加されましたが、これまではサードパーティー制のアプリ(私も大好きなSnapseedでは射影変換ツール)などを使用しないと出来なかった機能、パースペクティブ(縦方向・横方向の歪み)、シャープネス、精細度、ノイズ除去、ビネットの各種新機能が何よりも嬉しいです。

また編集後にいつでもオリジナルに戻す事ができる「非破壊方式」を採用しているので、プロユーザー向けのカメラアプリほど多機能ではありませんが、簡単な編集なら写真アプリだけで調整が十分できます。

テクニック

テクニック

作例を交えて、その新機能、特に写真編集での使い方を見てみましょう。

ちなみにiOS13に対応しているiPhoneは次のモデルです。

  • iPhone11/11 Pro/11 Pro Max
  • iPhoneXS/XS Max/XR
  • iPhoneX
  • iPhone8 Plus/7 Plus/6s Plus
  • iPhone8/7/6s
  • iPhoneSE

アップデート方法はApple他数々のサイトで紹介されていますので、バックアップをしてから安全に行って下さい。

建築写真に不可欠なパースペクティブ(縦方向・横方向の歪み)コントロール

広角レンズで撮られた写真は焦点距離にもよりますが、大なり小なり歪みます。ただそれが広角レンズの良さでもあり、その特性を上手く利用すればダイナミックな迫力ある写真の撮影が可能となります。

ダイナミックな迫力ある写真の撮影が可能

iphoneのシングルレンズ又はデュアルレンズの広角レンズは35mm換算で約28mmの広角レンズですので、画角が程よい広角具合で使いやすいレンズかと思います。

広角レンズの特性として近くのモノはより大きく、遠くのものはより小さく写りますので、例えば高層ビルを見上げて撮影した場合、上層階が下層階にくらべかなり小さく(細く)なります。

上層階が下層階にくらべかなり小さく(細く)なります

でもよく考えればそれって当然の事なのですが、人間の目は脳とうまく連動していて、「ビルの上部は実際には細くないんだよ~」と囁かれてごまかされてしまい、さほど細くない様に見えてしまいます。ビルの上層階が地上から遠くにあるにも関わらず、極端な歪みを感じる事が無いのです!と確か学校で習いました(笑)

で、その歪みを、人間が見て普通と感じるような写真に補正するにはどう撮影すれば良いか? 

その答えは実は簡単で、カメラ(スマホ)を建物に対して水平、垂直に構えて撮影をすることです。ただそれは必ずしも出来ないケースがほとんどです。なぜなら高い建物を撮影する時にスマホを垂直に構えていると、撮影をしたいビルの上部まで全てが、いくら広角レンズとはいえ画面内に入りきらないからです。

広角レンズとはいえ画面内に入りきらない

一眼レフなら特殊レンズで解決できます。

話が少し反れますが、そんな時に登場するのが、一眼レフをお使いの人ならご存知の方もいるかと思いますが、ニコンのPCニッコールやキャノンTS-Eレンズです。

ニコンのPCニッコール

キャノンTS-Eレンズ

いわゆるシフトレンズと言う高価で特殊なレンズなのですが、これは物理的にレンズのみがスライド移動(及び首振り機能)をする事によりカメラを動かさずに構図が変えられる機能を備えています。それによりカメラを垂直に保ったままビルの上部までを画面内に入れる事が(勿論、限界はありますが)できるのです。

これは元来4x5(シノゴ)カメラなどと呼ばれる大型カメラが備えている仕組みで、それを部分的に35mmの一眼レフカメラで使えるようにしたものがシフトレンズとしてニコンより1961年に初めて(多分)誕生しました。PCニッコールのPCとは正にPerspective Control(パースペクティブコントロール)の頭文字です。

iOS13のiphoneの場合

さてビルの写真が歪む理由とそれを防ぐ方法が分かったところで、実践へと行きたいのですが、もう一点クリアしなければならないポイントが建築写真撮影にはあります。それはその建物を正面から撮影する場合に発生するのですが、建物に対してカメラを真正面、正対に、しかも建物の中心の位置で構えなければならない事です。

この「ビルに正対してカメラを構える」というのが実際は意外と難しく、しかも水準器の様にカメラに取り付けて誤差を修正できる道具で手軽な物が無い事です。

多分測量技師の方などが専門性の高い分野の方が使用する、レーザー系(?) の機器が何かあるような気がしますが、我々カメラマン業界でそれらしい道具を使っている人にはまだお目にかかった事はないです。

その難しい正対して構える事を撮影後に助けてくれるのが、横方向のパースペクティブ/歪み調整です。これは先程のシフトレンズでいうところの横の動きなのですが、簡単に言うとカメラを動かさずにレンズ目線を左右に移動する事ができる機能です。建物ではないのですが作例を見てください。

横方向のパースペクティブ/歪み調整

お店のガラスドアを正面に近いアングルから撮影しました。カメラを構えている私が当然移ります。この場合自分が写らないように撮るには、左右にずれて撮影するしか方法がありません。その写真がこちら。

私の姿はあえてギリギリ画面の右端に残しました。トリミングで切ってしまえば消せますね。でも、この写真は最初に撮影した正面とはあきらかにアングルが違ってしまいます。ドアがどうしても歪んでしまします。

そこで、パースペクティブ コントロールの横方向をグイッと使用します。

パースペクティブ コントロールの横方向

見事に形状が修正され、あたかも正面から撮影されたかの様になってます。しかもカメラマンもガラスに映っていない!

これは撮影場所が正面から外れた位置であっても、目線のみを正面に戻して撮影したアングルにした結果なのです。これを使えば、建物をセンターではなく少し外れた位置から撮影してしまっても、後から修正ができるという訳です。

実際に建物の写真のパースペクティブを調整してみましょう!

京橋に有る有形文化財にも指定されている明治屋の重厚な構えのビルです。普段のスナップ感覚でパチっと撮ると、まぁこんな感じじゃないでしょうか?

ビルの形状を見ると明らかに歪んでいます。もちろんスマホの水平、垂直、ビルに対しての正対とすべてが無視されています(笑)

最初に調整するのは、ゆがみではなく傾きです。とは言っても傾きで画像の角度だけを変えても、当然すべてが垂直になる訳ではありません。ですからまずは画像のちょうどセンターを先ずは垂直にします。

その次に縦のパースペクティブ/歪みを調整します。

縦のパースペクティブ/歪みを調整

その次に横のパースペクティブ/歪みを調整します。

横のパースペクティブ/歪みを調整

最後にトリミングをして整えますが、縦歪みと、横歪みの調整は行ったり来たりしながら、細かく調整が必要です。

縦歪みと、横歪みの調整は行ったり来たりしながら、細かく調整

パースペクティブコントロールする際の注意点

このツールを使うとどうしても天地左右が変形量によって大きく切られてしまいます。ですから、あらかじめ広めに余裕をもって撮影をする必要があります。

またこのツール使ってみれば分かるのですが指1本でささっと、画面を見ながらいとも簡単に調整が出来てしまいます。先程の大型カメラやシフトレンズを長年使ってきた自分としては、「なんてすぐれモノなんだ~」と正直涙ものです(笑)

建築写真は何と言っても水平、垂直のポジションが命!今でこそ電子水準器がカメラに内蔵の時代となりましたが、当時ロケ撮影で絶対に忘れてはならないマストアイテムがバブル水準器でした。その点を重視しながら調整をします。

そして撮影をする時にこれらの点を気にする事が出来る様になれば、明らかにカメラマンとして一歩、いや二歩は前進です!

最終的には、露出、ブリリアンス、コントラスト、明るさ、彩度、シャープネス、ビネットなども調整して以下の様に仕上げました。

露出、ブリリアンス、コントラスト、明るさ、彩度、シャープネス、ビネットを調整

調整度合いが前のバージョンと比べて見えやすくなったので、編集がスムーズできます。

それぞれのエフェクトのアイコンをタップすると、そのエフェクトを適用する前と後の写真の見え方が確認できるので、大変便利です。

見方を変えた使い方も!

今回紹介をした、パースペクティブコントロール機能ですが、なにも普通に補正するだけの機能ではありません。発想の転換ってやつで、逆に使ったって良いわけです。

歪みを調整せず、その他の色味やコントラストのみを調整した元の画像

これは歪みを調整せず、その他の色味やコントラストのみを調整した元の画像です。広角独特のパース感が出ていて、高層ビル群をイメージできる絵になっています。

その場で見た風景に近い、歪みのない世界

こちらはその場で見た風景に近い、歪みのない世界。建築写真の仕事ならこんな風に撮るでしょう!

パースペクティブを協調して仕上げた画像

そして最後はパースペクティブを逆に協調して仕上げた画像です。映画のワンシーンのように異次元レベルの歪んだ世界!でもイメージとしては個人的には好きです。

このように、使い方によってはイメージをより強調できるツールでもあります。

皆さんも想像力を膨らまして、面白い作品創りに挑戦してみてください。

それではまた次回。

良い写真ライフを! Have a  good one!