MENU
スリック社「ライトカーボン三脚 E84 H」を使ってみた!【オススメかも♪】
  • 吉田哲士:プロカメラマン

スリック社「ライトカーボン三脚 E84 H」を使ってみた!【オススメかも♪】

こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。

今回は、全高2150mmのハイアングル撮影が可能でリーズナブルな28mmパイプ径の中型カーボン三脚。

スリック社「ライトカーボン三脚 E84 H」をレビューしたいと思います♪

三脚は大事なアイテム

皆さんは撮影する時に三脚を使用してますでしょうか?

使用している三脚を見れば、そのカメラマンの腕前が分かる!と昔から言われている位に三脚は大事なアイテムなのですが、撮影現場でたまに目にするのが、一眼レフ、レンズ、三脚のバランスが間違っているカメラマンです。

ハイアマチュア向けのどっしり重い一眼レフに、これまた重量級のズームレンズを装着しておきながら、数千円クラスのきゃしゃな三脚を使っているケースが正にそうです。

私が広告撮影時には商品撮影、人物撮影問わずほぼ三脚を使用するようにしています。ファッションカメラマンではないので、アングルをあれこれ沢山変えて撮影する事は少ないので、アングルをしっかり決めての三脚撮影です。

最近は使用カメラも35mmデジタルカメラですのでマンフロット(Manfrotto※メーカー)の中型三脚で十分安定するのでそれを多用していますが、以前は大型の4x5カメラをメインで使用していたので、それを支える大型のジッツオ(GITZO※メーカー)三脚を使用していました。

今でもスタジオの片隅に鎮座していますが、大型の雲台と合わせると6~7kgは優にあり、ロケの時などは外にも持って出ていましたが、今では考えたくもないサイズと重量です(笑)。
※雲台:三脚や一脚に装着してカメラを固定させる部品

今では考えたくもないサイズと重量の三脚

今回新たにスリック「ライトカーボン三脚 E84 H」三脚をとあるコンテストのメーカー賞としてゲットしましたので、プロカメラマン目線でレビューをしながら三脚について思うところも少し書きたいと思います。

コンテストのメーカー賞

スリック「ライトカーボン三脚 E84 H」

先ずこの三脚ですが、型番 E84H のHは写真家・秦達夫氏のアイデアが盛り込まれているとの事からのネーミングの様です。

アマゾンで「スリック ライトカーボン三脚 E84 H」を見る
参照元:アマゾン

秦達夫氏の実際の経験から、特に傾斜地での撮影時など自分の足元よりも低い位置に三脚の先端をセットしたいシチュエーションでも十分に目の高さを確保できる三脚が欲しい!との事でこの2mを超える長めの三脚が誕生しました。

スリック「ライトカーボン三脚 E84 H」

実際に使用してみて、収納時確かに携帯性は多少犠牲になるものの、コンパクト三脚では普段4段全てを伸ばさなければならなかった時も身長171cmの私では、脚三段のみでもアイポイントを上回るので、通常は三段三脚として使うことが出来て十分です。

次に個人的に「いいね!」と思った点をいくつか見ていきましょう。

カーボン製、アンチローテーションシステム、マルチポジション、その他

カーボン製

一眼レフ向け三脚には「アルミ製」「カーボン製」の2つがあります。

素材としては「カーボン製」の方が優れています。まず軽いこと、同じ太さの三脚を手にとって比べたとき、アルミ製とカーボン製の重さは全然違います。

下の写真は「SLIK ライトカーボン三脚 E84 H」と、実際私が使用している「ジッツオ(GITZO※メーカー)」の重さを比べてみました。

ジッツオ(GITZO)

SLIK ライトカーボン三脚 E84 Hの重さ

ジッツオ(GITZO)の重さ

私が使用している小型のジッツオ(GITZO※メーカー)は全高1500mm程しかないにも関わらず、雲台を外した状態で300g重いです。

またカーボン製は振動が収まりやすいことや、寒冷地で使用してもアルミほど冷たくならないというメリットがあります。

この冷たくならない、というのが実は冬の撮影時めちゃくちゃ良くて、ウレタングリップが装備してある点も同じく大変助かります。

ウレタングリップが装備

少し前までカーボン製は大変高価でしたので中々手が出ませんでしたが、最近ではリーズナブルなカーボン製が主流になっています。

したがって、これから三脚を購入するなら間違いなくカーボン製がよいでしょう。

アンチローテーションシステム

三脚にはロック方法としてナット式レバー式があり、ナット式はネジのように回転して三脚の脚を緩めて固定する方法です。

脚の周りをおおうようにナットがセットされており、前後左右どの位置からでも締め具合を調節できるのがメリット。

また出っぱりがなくコンパクトに収納できるため、持ち歩きながら使用したい場合に便利です。レバー式は文字通りレバーの開閉で固定したり緩めます。

E84H 三脚ナット式 寄りの画像

E84H 三脚ナット式

一眼レフ向けの本格的な三脚ではほとんどがナット式です。

レバー式はレバーを倒すだけの簡単操作ですばやくセッティングできるのがメリット。レバーの位置でロックされているかを確認しやすいため、うっかり固定されていない状態で使ってしまうのを防げます。ただ素早く操作はできるのですが、バネで脚を固定するので、固定する力が弱く安定性に欠けたり、持ち運ぶ際に引っかかりやすいといった欠点があります。

この「E84H」三脚はナットロック方式で私が30年来使用している古いジッツオなどと同様なのですが、各パイプが空転してしまい、脚を伸ばす時、上から順番にしかもしっかりとロックしながら伸ばさないと、次に伸ばす段が空転してロックが出来なくなります。

この「E84H」はスリック独自のパイプ同士が空転しないARS(Anti Rotation System)機構が備えてあり、パイプで下段が空転せず、全ての段を一度に伸縮でき大変便利です。ナットサイズや滑り止めゴムのパターンも手にフィットして回しやすいですし、ナットの半回転で伸縮が楽に可能です。

マルチポジション

脚の取付部分にある「開脚ストッパー(特許登録済)」を引き出すことにより、開脚角度をハイ・ミドル・ローの3段階に設定できます。

セット時にクリック感のある手応えで、確実な開脚角度の設定が思いのままにできる機構ですが欲を言えばこのクリック感はもう少ししっかりしていた方が良かったかな。

開脚ストッパー(特許登録済)ロー

開脚ストッパー(特許登録済)ミドル

開脚ストッパー(特許登録済)ハイ

3本の開き角度を別々に調整することも自在ですので、階段や傾斜地など、さまざまな状況に応じて素早くまっすぐ据えることができます。

開き角度 小さい

開き角度 普通

開き角度 大きい

その他

付属の雲台は「エイブル 300 DX N 雲台」で2ハンドル3ウェイのコンパクトな雲台です。パン棒が収納用に連結出来る機構は膝を打つ素晴らしいアイデアで、いつも外して袋の中で迷子になってしまう事もこれで無くなるでしょう!

エイブル 300 DX N 雲台

エイブル 300 DX N 雲台

カメラの取り付けはスリック独自のクイックシュー方式ですが、やはりこの部分は本家アルカスイスにはすこし劣りますね。

カメラの取り付け部分 スリック独自のクイックシュー方式

カメラの取り付け部分 スリック独自のクイックシュー方式

ただ正直この雲台はこのE84Hの4段脚部には少し不釣り合いな小型雲台ですので、私は以前から使用しているジッツオ(GITZO※メーカー)の自由雲台に変えて使用しています。(雲台取付ネジは大ネジ(U3/8)、小ネジ(U1/4)対応)。

ジッツオ(GITZO)の自由雲台

ジッツオ(GITZO)の自由雲台の取付ネジ

ジッツオ(GITZO)の自由雲台の取付ネジ 大ネジ(U3/8)

ジッツオ(GITZO)の自由雲台の取付ネジ 小ネジ(U1/4)

エレベーターを逆に装着しての超ローアングル撮影も可能で、たまに使います。

エレベーターを逆に装着しての超ローアングル撮影

おまけで付属してくる三脚ケースはビニール製で、多分3~4回撮影に行ったら破けてしまいそうでちょっと残念。

三脚ケース ビニール製

三脚は本当に必要?!

三脚は本当に必要?!

先日、都内の植物園に撮影に行きました。

午前中早めから結構な人出で、特に家族連れやご高齢の方々が多く、彼岸花が群生しているポイントでは皆が立ち止まって記念撮影をしていました。

勿論趣味のカメラマンも沢山いて、一眼(ミラーレス)カメラでレンズも交換しながら満開の彼岸花を狙っていましたが、ほとんどの方は三脚撮影ではなく手持ち撮影でした。 

まだ日中の明るい時刻でしたので、ISO感度を少し上げれば手振れもせずに撮影できたのかと思いますが、普段から三脚は使用せずに撮影されている人がアマチュアでは大半ではないかと思います。
※ISO感度:写真フィルムの規格で、フィルムがどの程度弱い光まで記録できるかの感度のこと。デジタルカメラの場合、ISO感度とはレンズから入ってきた光を、カメラ内でどのくらい増幅させるかの指標。

確かに最近のカメラは手振れ補正も優れている上、感度を上げてもノイズがさほど気にならなくなっている事は事実ですが諺にもあるように「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」では無いですが、実際はどうでしょうか?

案外1か所に集中して撮影した方が良い結果が伴うものです。

三脚使用のメリット

三脚使用のメリット

撮影の中でも風景撮影は結構腰を据えてじっくり撮影するべきかと思います。

アングルや使用レンズ、露出も含め、慌てずに撮影する事が良い結果にも結び付くかと思います。

三脚にカメラを据えてファインダー(モニター)を隅々まで確認する事で、画面に入っている余分なモノに気が付く事が出来ますしピントもマニュアルにしてしっかりポイントを決め、必要な被写界深度の確認と効果的なフォーカスポイントに確実に合わせる事が出来ます。

ドラマチックな演出としては濃いめのNDフィルターで長時間露光をしたりグラデーションフィルターを使用しての部分コントロールをしたりと、撮影に幅が出てきます。

これまで三脚をあまり使用してこなかった方は、この機会に是非ホコリを被っている三脚を持ち出して撮影をしてみては如何でしょうか? 手持ち撮影していた時とはまた違うシャープな写真がきっと撮れるはずです!

スリック「ライトカーボン三脚 E84 H」のまとめ

今回、スリック「ライトカーボン三脚 E84 H」をいろいろ試してみました。

アマゾンで「スリック ライトカーボン三脚 E84 H」を見る
参照元:アマゾン

各メーカーそれぞれ特徴がありますが、スリック社の「ライトカーボン三脚 E84 H」は総合的には◎ではないでしょうか。

キチンとした三脚なので、決して安い(このクラスではリーズナブルです!)とは言えませんが「ちょっと腰を据えてカメラやってみようかなっ!」って考えてる方は、選択肢の1つにしても良い三脚だと思います!

それでは良い写真ライフを! Have a Good one!