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ライトを少し当てるだけで、写真は劇的に変わる! スマホ写真上達への道!⑥
  • 吉田哲士:プロカメラマン

ライトを少し当てるだけで、写真は劇的に変わる! スマホ写真上達への道!⑥

こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。

最近の機材売り上げランキングに接写ができるマクロレンズの売り上げが伸びているそうです。 自宅でペットや花などの撮影をされているのでしょうか。

さて、久々の「スマホ写真上達への道!」シリーズの続きで第⑥弾となりますが、今回はさらに一歩踏み込んだものとなっています。それはライト/照明です。

撮影用のライト? それってちょっと専門的すぎ?!

これまではいわゆる自然光を利用しての撮影でしたが、今回は自然光に人工照明を当てての撮影です。

スマホにもご存じの通り小さなLEDライトが背面カメラのすぐ近くにあるのは皆さんご存じかと思います。でも多分気づいているはず、そのLEDライトを点灯させて撮影された写真がイマイチな結果になってしまっているという事に!

スマホのLEDライト

私もスマホで撮影する時はめったにLEDライトを使用する事はないです。少し暗い状況でもLEDライトはOFFのまま撮影しています。ただその暗い状況ですと、スマホは感度を自動的に上げるし、シャッター速度も遅めになってしまうので、ノイズが増え、ブレの可能性も大きくなってしまいます。

カメラ用のライトと言えばすぐに思いつくのがフラッシュ/ストロボですね。コンパクトデジカメや一眼タイプのデジカメでも小さなストロボが付いている機種もあり、フィルムの時代からストロボは写真用照明としては一般的です。

ただこれも上手く使わないと、やはりスマホのLEDライトの様な残念な結果になってしまいます。

一般的にストロボを使用しての写真は初心者の方には難しいかと思います。その理由としてはストロボの光が瞬間光だからです。
パっと一瞬光るだけで、その光がどんな具合に被写体を照らしているのか、実際に撮った画像を見なければ分からない光だからです。

では一瞬の光ではない光(連続光)を使えば、誰でもそのライトの照らし具合が見て確かめられて良いのではないでしょうか。

ビデオ/動画用のLEDライトを使おう!

今回おススメなのはビデオ/動画用のLEDライト! です。

最近私もLEDライトに興味を持ち、安価なモノを1点購入しました。
それが今回使用する「Neewer 176LEDライト」です。176という数字はLEDの電球ビーズの数です。このメーカーではプロが使用する大型の960ビーズのタイプなども製造しているので、メーカーとしては間違いないかと思います。

Neewer 176LEDライト

アマゾンで「Neewer 調光176 LEDビデオライト」を見る
参照元:アマゾン

このライト、非常に軽くて小型。光量も見た目でかなり明るいです。背面のスイッチ兼調節ダイヤルで10%~99%まで自由に光量の調整ができる優れものです。

LEDライトの製品では光量調整の他に色温度を暖色~寒色と調整できる機種もありますが、同じサイズですと光量が落ちてしまうので特に色温度の調整はできないタイプがおススメです。付属しているオレンジフィルター板で暖色に変換する事が簡単にできますので、それで十分かと思います。

Neewer 176LEDライト

バッテリー取り外し

裏面

ライト点灯

さて撮影ですが、このライト、ぱっとの見た目は確かに明るいのですが、当然太陽光にはかないませんし、少し被写体から離すと意外と光量が少ないのが分かります。あくまでも補助光として使用するのが今回の目的です。

光の性質

光の性質

皆さんも撮影する時の光の方向によって被写体の見え具合が変わるのはご存じかと思いますが、簡単に撮影時の光について説明をすると

  • 順光
    被写体に対しての正面からの光は、被写体を明るく照らし、色をハッキリと見せる事ができますが、質感、立体感、雰囲気がない。
  • 逆光
    被写体の後ろからの光で輪郭のエッジがついたりして、ドラマチックな印象になりますが明部と暗部の差が大きいのでコントロールが難しい。
  • 半逆光
    順光と逆光の間の状態。具合によってはエッジが立ち、立体感が出る。雰囲気も良い。
  • サイド(横)光
    横からの光は、被写体の質感、雰囲気を演出してくれますが、影の部分が多くなり暗めの写真になりがち。

と大まかに4パターンに分かれるかと思います。

上記の説明からですと、常に反逆光でとれば、雰囲気も立体感も出て良いのでは、と思われるかもしれませんが撮りたい被写体が常に反逆光の状態であるハズが無いですので、その場に有る光をどうコントロールするかが肝となります。

作例を見ながらの解説

今回何点かLEDライトの有り/無しで撮影をしてきましたので、一緒に見ていきましょう。

尚、これら全ての写真は私の古い相棒であるiPhone 7 Plusです。右手にiPhone 左手にLEDライトを持って、光の具合を確認しながら撮りました。 

苔の上の黄色い銀杏葉

見て分かるようにライトを左手少し上から当てました。ライトを当てる事によって銀杏の葉っぱの質感が良く表現されてますね!全体に日陰で雰囲気に欠けていたのですが、苔にも陰影がついて立体感、色がハッキリと出て来てます。

イチョウの葉 ライト有り
イチョウの葉 ライト有りの写真

イチョウの葉 ライト無し
イチョウの葉 ライト無しの写真

灯ろうのレリーフ

古い石のレリーフですが、同じくライトを当てる事によ立体感、と石の質感が強く表現されてます。

灯ろうのレリーフ ライト有り
灯ろうのレリーフ ライト有りの写真

灯ろうのレリーフ ライト無し
灯ろうのレリーフ ライト無しの写真

紅葉した葉

ライトを当てる事で、葉の赤い色が鮮やかに出ています。影が少し付きますので、のっぺりしていた絵がハッキリとしました。

紅葉した葉 ライト有り
紅葉した葉 ライト有りの写真

紅葉した葉 ライト無し
紅葉した葉 ライト無しの写真

赤い椿と池

椿にはほとんど太陽光が当たっておらず、このままアプリで明るく調整すると背景がかなり明るく飛んでしまうかと思いますが、ライトを当てる事によって背景とのバランスが良くなりました。花の色も協調され立体感も出てきて花がイキイキとした感じに写っています。

赤い椿と池 ライト有り
赤い椿と池 ライト有りの写真

赤い椿と池 ライト無し
赤い椿と池 ライト無しの写真

錆びた鉄のドア

朽ち果てた鉄の扉をクローズアップで撮影しました。錆びて剥がれそうなペンキの細かな部分がライトを当てる事で雰囲気良く表現できたかと思います。ライトに付けるフィルターもオレンジを使用する事で、一層ムードが出ています。絵の左右で明暗差が生まれ、全体的に趣がプラスされました。

錆びた鉄のドア ライト有り
錆びた鉄のドア ライト有りの写真

錆びた鉄のドア ライト無し
錆びた鉄のドア ライト無しの写真

まどろむ白猫テト

ベッドで昼寝をしてまどろんでいるテトです。窓からの光が正に逆光状態。これはこれで雰囲気もあり悪くは無いかと思いますが、少しサイド光で当ててあげると顔の目鼻立ちがハッキリとしてきてより良く見えます。ライトを当てる事によりシャッター速度がより高速にセットされる為、背景が更に暗くなりテトが浮かび上がってきました。

まどろむ白猫テト ライト有り
まどろむ白猫テト ライト有りの写真

まどろむ白猫テト ライト無し
まどろむ白猫テト ライト無しの写真

このようにどの写真もライトを少し当てるだけで、全く違う雰囲気に撮れています。

ライトを当てる時の注意点

ライトを当てる時の注意点

スマホを右手、ライトは左手(または逆)でそれぞれ持ちますので、くれぐれも落下に注意して下さい。

僕はスマホで撮影する時は必ずケースのストラップを指に絡ませています。今回気づいたのは、このLEDライトにもストラップを付けて万が一の落下に備えた方が良い、という事でしたので早速取り付けようかと思っています。

離れた被写体の時は効果がない!

多分2m先の被写体を狙う時などはもう役に立たないかと思います。それくらいの光量しかない小さなライトです!

ライトはなるべく被写体の近くで!

スマホの画面を見ながらギリギリ近くまでライトを寄せて下さい。明るすぎる場合は光量を下げてでも近くに寄せた方がライトの面積が被写体に対して大きくなるので、その方が光がずっと優しくなります。
※逆に強めの影を出したい場合はライトを離して下さい

今回はお手軽なビデオ用のLEDライトを使ってのレベルアップ講座でした。
ライトを操る事の勉強にも大変よいので、皆さんも是非トライして下さい。
ライトは今回のLEDライト以外でも色々なライト、例えば自宅にお持ちの懐中電灯などでも応用が出来ますので、遊びながら光を学んで下さい。

それでは良い写真ライフを!
Have a good one!