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レストランオーナー、店長さん必読! スマホで簡単に料理写真の撮影をしよう!
  • 吉田哲士:プロカメラマン

レストランオーナー、店長さん必読! スマホで簡単に料理写真の撮影をしよう!

こんにちは、「フォトネコ」の吉田です。

プロカメラマンが教えるテイクアウトフード、デリバリーフードのメニュー写真を魅力的で美味しそうに撮影するコツを紹介します!

自慢料理の美味しさを、写真でキチンと伝えよう!

新型コロナウイルスの影響で、テイクアウトフードやデリバリーを始められる飲食店も増えてきています。SNSを利用しての発信も既にされているかとは思いますが、折角の料理を確実に美味しい!と食べてもらう前にアピールするのは売り上げにも直結する大変重要な事!

人は外からの情報を取り入れる時、実に80%以上の情報は視覚からとの事ですので、いかに美味しく見せるかが購買意欲をそそるかどうかに関わってくるのです。

今回はテイクアウトやデリバリーメニュー用の写真をスマホで撮影するためのコツをプロカメラマンが実際に使っているテクニックから紹介します。

美味しそうな料理の写真とは? シズル感って?

美味しそうな料理の写真とは? シズル感って?

「シズル感」普段あまり耳にしない言葉かと思いますが、料理撮影の現場では昔からよく使います。

私も最初は「シズル」??(って何?)でした。 元々は英語のsizzleという単語から来ている言葉で、英和辞典で調べると、「じゅーじゅーという(音)」と出ています。
余談ですがファミレスでシズラーというサラダーバーとステーキが充実しているお店が有りますが、この「シズル」という単語が店名の元になっていますね!

料理写真で言うところのシズル感が出ているとは、特に明確な定義は無いのですが

  • ステーキを焼いている時に油がジュージューと飛び跳ねている様
  • 鍋物でグツグツと具材が煮立って沸き立っている様
  • ソースやタレがトロ~と垂れて照りが入って光っている様
  • 器から熱々の湯気がフワッと立ち上がった様
  • 水滴が光っていてみずみずしく新鮮な様
  • 冷たい飲み物のグラスにぷるんとした水滴が着いていて中身が冷えた様

などなど、理屈ではなく見た瞬間に「美味しそう!」「食べた~い!」と言ってしまいそうな感じを総じてシズル感と呼んでいます。

 

広告での料理撮影の時はこのシズル感をいかに表現できるか!がとても大事で、料理専門のカメラマンが様々なテクニックや道具を駆使しながら撮影しています。
また撮影用料理の見栄えを第一(※味付けをしない)にして調理をするフードコーディネーターというジャンルの方々が活躍されています。 私も仕事で料理の撮影する時は良くお世話になっています。

※撮影用でも味付けをきちんとされるフードコーディネーターの方も勿論おられます。その時は撮影後にスタッフ皆で美味しくいただくのが楽しみです。

今回はテイクアウト用のフード撮影をスマホを使って簡単にしますので、あまり華美にデコレーションをしたり、シズル感を乗せすぎても違和感がでてしまいますので、度合いを調整しながら特に「照り(光の反射)」を上手に入れる様に撮影するコツを解説します。

実際に撮影してみよう!

まず撮影時間は絶対に日中で自然光のたくさん入る明るい窓際がベストです。

間違っても夜や室内照明のみでの撮影はNGです。 料理自体の自然な色合いがキレイに表現されませんし、暗いと美味しそうに見えない場合が多いです。あとスマホに付いているLEDフラッシュとHDR設定は必要ないのでOFFにして下さい。

一番大事なポイントは、窓からの光、つまりメインの光が逆光または半逆光くらいの位置で料理に当たる様な場所を選ぶ!という事です。 先程説明したシズル感「照り」を狙います。

順光の撮影ですと照りがどうしてもあまり出ません!

逆光撮影

逆光撮影にするとハンバーグとソースに「照り」が良い感じで入ってきて美味しそうです。

料理写真は逆光または半逆光

これは料理撮影の基本中の基本なのですが、普段よく目にする多くの料理写真は逆光または半逆光で撮影されています(影の向きを良く見ればわかります)ので注意して見てください

撮影に必要な小道具として以前の記事

でもお伝えしましたが、100均で買えるスチレンボードで簡単に自作できる便利なL字型レフ版が今回も重宝します。もしまだお持ちでない方がおられましたら、この機会に是非1セットお作り下さい。

椅子を使ってレフ版と一緒に撮影セットを窓際に作りました。尚、直射日光は当たらない様に! レースのカーテンなどがあれば丁度良い感じに光が柔らかくなりますよ!

椅子を使ってレフ版と一緒に撮影セットを窓際に作成1

椅子を使ってレフ版と一緒に撮影セットを窓際に作成2

撮影のアングルを決めた後、先程のレフ板を使います。光が来る窓側方向と丁度反対側に配置するのが効果的な使い方です。全体のコントラストが低くなって影の部分が程よく明るくなり、食材の色もより鮮やかに見え食欲をそそる写真になります。

レフ版を手前に使用した写真としていない例です。影の部分が明るくなり、食材の色味も出て来て美味しそうです!

レフ版を手前に使用した写真としていない例1

レフ版を手前に使用した写真としていない例2

スマホの標準カメラアプリでグリッド表示が可能な場合は設定をして下さい。

設定>>カメラ>>グリッド

その方が断然構図を取りやすいです。 料理写真に限らず、私の場合は普段、常にグリッド表示にしています。

撮影のアングル

撮影のアングルですが、料理全体を見せたい場合は、真上からの真俯瞰アングルでの撮影が良いかと思いますが、このアングル、説明には向いてますが絵に迫力が出ないのと、先程のシズル感を表現するのには難しいアングルです。料理を撮影する時に一番よく使われるアングルは斜め45度のアングルです。

弁当を真上から撮影

弁当を斜めから撮影

このアングルからの撮影は、真上からのアングルと比べると全体をハッキリ見せる事が少し難しくなりますが、シズル感の一つである「照り」の感じが出しやすく、奥行き感が付いて絵に動きが出てきますし、具材が立体的に見えより美味しそうに見えます。

更にメインの具材をより良く伝えたい場合は、このアングルでメインの食材に近づいて撮影します。フレームからややはみ出すくらい思い切って寄って撮ればより主張させた写真になります。

寄りのハンバーグ写真

寄りの弁当写真

食べ物は、平面に写すより、斜めから立体的に見せる方が断然美味しそうに見えます。
スマホを引いたり寄ったりしながら、一番いいと思う位置を見つけるように撮影してみましょう!

先ほどは45度アングルが定番とお伝えしましたが、料理の種類や形状によって「照り」が見えてくる角度が異なってきますので、必ずしも45度にとらわれる必要はないです。色々とアングルを探ってみましょう!

シズル感である「照り」は必要ですが多すぎても良くは無いです。光が反射しすぎて内容が分かりづらくなりますので適度な照り具合がやはりポイントです。特にソース類が沢山かかっている料理は注意して下さい。

光を反射させるには、光源の位置に対してレンズがどこに向いているかが大事なポイントになります。スマホを向ける角度によって、反射(照り)が出る場所と出ない場合があるので、反射が出る場所を探りながら撮影しましょう。

さあ、美味しそうなシズル感を目指してトライしましょう!

美味しそうに撮影する時の大事なコツ(追加)

写真撮影はやはり光が一番重要なポイントですが、料理の撮影で忘れてはならない点、それはやはり清潔感です。

撮影する食材が新鮮である事は勿論ですが、食材が容器の中でどのような状態なのかも大変重要です。

この写真はご飯やソースが飛び散っていてキレイさが大幅に減ってしまいます。

こちらはご飯の上のフリカケや添え物がまとまっていなくて、食欲を減退させます。

これは撮影時に限った話では無く、お客様に店内で食べていただく時と同じですので、既にオーナーさん、店長さんは実践されているかと思いますが、以下の点にも気を付けると良いです。

  • 白米は柔らかくふっくらと盛り付ける
  • ご飯の粒が容器に端に散らかってない
  • パスタ、麺類の端っこは見せないで隠す
  • ソース類が飛び散ってない
  • 具材の盛り付けを立体的にする

具材が立体的な配置に見えるように、ティッシュを少し底上げ用に使用しました。カメラ側に少し起き上がる様に仕込みます。 ソース類は綿棒を使うと細かくきれいにできますよ。

少しの工夫でよりよく見せる事ができます。

お弁当、整えビフォーアフター。
ビフォーの写真は順光撮影ですので、照り具合も少なく食欲をそそりません。

以下のテクニックもトライしてみて下さい。

  • 霧吹きで水を少し吹いて、サラダなどの野菜類をみずみずしくする!
  • ハンディースチーマーを使って、熱々の湯気を演出する!
  • 油、水、みりん等を刷毛で少し塗って、照り具合を強調する!

また撮影した画像の調整も忘れずにして下さい。これも標準の写真アプリで大丈夫ですので以下の3項目を使用してみて下さい。

明るさ → 基本、明るい方へ!
彩度 → 色味を濃く鮮やかに!ただし協調し過ぎはNGです。
暖かみ → 暖色を強めに!

トリミングと画像調整をほどこした天丼弁当のビフォーアフター

画像調整は少しのタッチで十分です。美味しそうに仕上がりました。

それでは良い写真ライフを! Have a good one !

写真関連でのご質問があれば、どうぞ遠慮なくDMしてください! なるべく丁寧にお答え、もしくはこのブログで取り上げたいと思います。